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最新の植毛技術。自毛植毛の特徴と問題点

更新日:2016.12.09
公開日:2014.10.01
ドクター画像
この記事の監修者
アイランドタワークリニック新宿院 院長 坂本有孝

自毛植毛は、自分の髪を頭皮ごとドナーとして利用するため、一度に採取できる本数には限りがあります。しかし、現在その欠点を克服する新しい自毛植毛技術の研究が進められているそうです。ドクター監修のもと、最新の植毛技術についてご紹介します。

植毛

現在の自毛植毛の欠点

自毛植毛は、本人の髪をドナーとして採取し、薄毛が気になる部分に移植する方法です。男性が薄毛になる最大の原因は、男性ホルモンが毛根付近から分泌される酵素(5αリダクターゼ)と結びつき、脱毛のシグナルを発信する別の物質に変化してしまうことです。しかし、後頭部や側頭部の頭皮には、この脱毛シグナルを受ける「男性ホルモン受容体」というものが存在しないため、脱毛しにくいという性質を持っています。そこで、これらの髪をドナーとして利用し、薄毛の部分に植え込んでいく「自毛植毛」という方法が考えられたというわけです。植毛した髪はもともとの性質を保ち続けるため、定着すれば、メンテナンスをしなくても半永久的に生え代わり続けます。

このように、自毛植毛は大変すぐれた薄毛対策法ですが、自分の髪を頭皮ごとドナーとして利用するため、採取できる髪の量には限りがあるという欠点があります。通常の自毛植毛手術で一度に採取できるドナーの量は、1500~1800株くらいといわれています。

最近では、1回で2回分の移植ができる「メガセッション」という方法もあり、患者の髪の状態や医師の技術にもよりますが、これなら1回の施術で最大3000~4000株くらいの移植が可能とされています。しかし、もともとの毛根の量が増えるわけではないため、採取できる本数に限りがあることに変わりはありません。

細胞で毛髪再生?

現在、研究が進められているのは「iPS細胞(人工多能性幹細胞)による毛髪再生技術」です。

私たちの体にある細胞は「髪の毛なら髪の毛の細胞」、「筋肉なら筋肉の細胞」というように、それぞれ固有の役割を持っています。しかし、iPS細胞は、体のどの部分の細胞にもなれる「万能細胞」です。そのため、このiPS細胞で髪の毛を作るもとになる「毛包」を作り、薄毛の部分に植毛することができるようになれば、好きなだけ髪を増やすことができるというわけです。しかも、自分の細胞から作り出すため、「人工植毛」のように拒絶反応が起こる心配もありません。

まるで夢のような話ですが、実際に2013年1月には『慶応大学の研究チームが、iPS細胞を用いて「毛包」を部分的に再生させることに成功した』というニュースが報道されました。まだマウス実験に成功したという段階であり人には適用できませんが、iPS細胞による自毛植毛が実現する日は、そう遠くない未来かもしれません。

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