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育毛を妨げるDHT(ジヒドロテストステロン)とは

更新日:2016.12.09
公開日:2014.11.04
ドクター画像
この記事の監修者
アイランドタワークリニック新宿院 院長 坂本有孝

AGA(男性型脱毛症)には、ジヒドロテストステロン(DHT)が大きく影響するといわれていますが、ジヒドロテストステロンとはどんな物質で、どのように薄毛に関わっているのでしょうか?ドクター監修のもと、AGAを引き起こす原因について解説します。

髪の成長を妨げる物質「ジヒドロテストステロン(DHT)」

ジヒドロテストステロン(DHT)は、男性ホルモンである「テストステロン」が毛根周辺で分泌される変換酵素と結びつくことで生成される物質です。テストステロンは、胎児期には生殖器の発達を促し、思春期頃には睾丸や陰茎の発育、声変わりなど、男性の二次性徴を発現させる働きをするため、男性にはなくてはならないホルモンですが、5αリダクターゼと結びつくと、毛髪の脱毛を促進させる原因物質に変わってしまうのです。

DHTが生成されると、髪の成長が妨げられます。これにより毛髪の成長期が短くなるため、長く太い髪は減少し、細く短い髪が増えます。その結果、毛髪のミニチュア化や成長しきっていない毛の脱毛が起こり、毛髪の密度が低下して薄毛になるわけです。

ただし、ジヒドロテストステロン(DHT)の生成=抜け毛・薄毛を引き起こすというわけではありません。髪の成長は、ジヒドロテストステロン(DHT)が毛乳頭細胞に存在する男性ホルモン受容体(レセプター)と結びつくことで、はじめて止まるからです。そのため、レセプターが存在しない後頭部や側頭部の毛髪は、ジヒドロテストステロン(DHT)の影響を受けません。薄毛が額や頭頂部からくるのは、このためです。

薄毛になる人とならない人がいるのはなぜ?

全ての男性が薄毛になるわけではないということは、ジヒドロテストステロン(DHT)が生成されにくい人もいるということです。では、多く生成される人とそうでない人の差は、どこにあるのでしょうか?

DHTの元となるテストステロンは、どの男性にも存在するものです。そして、この量に個人差はほとんどありません。つまり、原因は5αリダクターゼにあると考えられます。事実、5αリダクターゼの分泌量には大きな個人差があるといわれています。また、この生成量は、遺伝により受け継がれるものという考えもあります。「薄毛は遺伝によるもの」といわれる理由には、このような背景があると考えられています。

ジヒドロテストステロン(DHT)の分泌を抑制するには?

上記のことから、薄毛の予防・対策には、5αリダクターゼの阻害が重要になるということがわかります。日本皮膚科学会のガイドラインでA評価(行うよう強く勧められる)を受けているプロペシア(フィナステリド)も、5αリダクターゼの阻害により薄毛の進行を防ぐ効果をもたらすものです。

AGAによる薄毛は、何かひとつの原因によって引き起こされるものではなく、さまざまな原因が複合的にからみあって発症するとされています。しかし、今のところ確実な原因と言えるのはDHTの影響しかなく、その他の原因については調べようがないため推測の域を出ないというのが現状です。よって、AGAの治療としてもっとも効果的なのは、DHTの生成を抑えることだと考えられているのです。

とにもかくにも、抜け毛・薄毛が気になりだしたら、まずはそれがAGAかどうかを診断することから始めましょう。セルフ診断は危険なので、専門医に相談することをおすすめします。

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