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ダイエットに役立つ代謝の基礎知識
代謝は、基礎代謝と生活活動代謝、食事誘導性熱産生の3種類に大別できるといわれています。それぞれエネルギーを消費する方法は異なります。どのような方法でエネルギーを消費しているのかを、ドクター監修の記事で解説します。
ダイエットをするには、代謝を上げる必要があるという言葉を聞いたことがある人は、少なくないでしょう。代謝を上げるためには、どのような対策が効果的と考えられているのでしょう。まずは、代謝とは、そもそもどういった身体の活動なのかをみていきましょう。
代謝とは
代謝とは、食事などで外部から摂取したカロリーや栄養素を、生命の維持や身体を動かすとき、消化や吸収を行うときなどに使用するエネルギーのこととされています。代謝は、3種類に大別できると考えられています。
基礎代謝
人間が生命を維持していくために、欠かすことができない最低限必要になるエネルギー量のことを、基礎代謝と呼びます。基礎代謝は、恒温動物である人間が生命を維持していくうえで、熱を保つために無くてはならないエネルギーです。3種類に大別される代謝の中で、基礎代謝で消費されるエネルギーが一番多く、おおよそ60パーセントから75パーセントといわれています。筋肉量が多い人は、基礎代謝で消費されるエネルギーが多いとされています。
生活活動代謝
仕事をしたり、スポーツをしたりするなど身体を動かすときに、基礎代謝以外で、消費されるエネルギーのことを、生活活動代謝と呼びます。生活活動代謝は、身体を動かすことが多ければ多いほど増えると考えられています。生活活動代謝で消費されるエネルギーは、おおよそ15パーセントから30パーセントといわれています。
食事誘導性熱産生
食事誘導性熱産生(Diet Induced Thermogenesis)は、「DIT」とも呼ばれています。食事などでとり込んだ栄養の消化や吸収を行うときに消費されるエネルギーを、食事誘導性熱産生と呼びます。食事をすると、脳へ食事の美味しさが伝わります。そして、交感神経は、脳から刺激を受けて活発に活動を始め、ノルアドレナリンを分泌します。分泌されたノルアドレナリンは、脂肪細胞の酸化と分解を促進します。ノルアドレナリンの脂肪細胞の分解などの働きが、熱産生につながると考えられています。つまり、食事をすることで、体脂肪を分解し、熱(エネルギー)に変える一連の仕組みのことが、食事誘導性熱産生とされています。食事誘導性熱産生で消費されるエネルギーは、おおよそ7パーセントから13パーセントといわれています。
代謝は年齢とともに低下していく
基礎代謝のピークは、16歳から18歳とされています。そして、それ以降は、年を重ねるにつれて基礎代謝は低下していくといわれています。18歳から29歳の1日の基礎代謝の平均は、1,210kcalとされています。そして、30歳から49歳の1日の基礎代謝の平均は、1,170kcalといわれていますので、1日で40kcalの差が生まれる計算になります。たとえば、35歳のときに、25歳の頃と全く変わらない生活を送っていたとしたら、1年間の差は、40kcal×365日=14,600kcalにもなってしまいます。脂肪1kgのカロリーが7,200Kcalなので、つまり、35歳では、25歳に比べて1年間で消費されないカロリーが、14,600kcalになるので、おおよそ2kgの脂肪が蓄積されることになります。3年間で考えると、14,600kcal×3年=43,800kcalになるので、おおよそ6kgもの脂肪が身体に蓄積されることにつながります。
代謝を上げるにはどうしたらいい?
基本的に、筋肉量が多い人は基礎代謝で消費されるエネルギー量が多いといわれていますので、基礎代謝を上げるためには、筋肉量を増やすことが大切と考えられています。ですから、基礎代謝の向上のためには、筋トレなどの無酸素運動を行いましょう。無酸素運動は筋肉量を増やし、基礎代謝を高める運動です。一方、生活活動代謝は、身体を動かすことで消費されるエネルギーです。特に、有酸素運動との関連が強いとされていますので、ウォーキングやランニング、サイクリングなどの有酸素運動を定期的に行いましょう。野球やサッカーなどのスポーツを行うことも有効といわれています。
3種類の代謝の中では、占める割合がもっとも低い食事誘導性熱産生ですが、毎年少しずつでも食事誘導性熱産生で消費されるエネルギー量を増やしていくことができれば、長期的には、大きなダイエット効果が期待できます。食事誘導性熱産生を上げるためには、代謝を上げる効果があるとされている食材を積極的に摂取することが効果的と考えられています。ショウガや唐辛子、シナモン、そして、コショウなどのスパイスや、ネギやニンニクなどの薬味は、食事誘導性熱産生を上げる食材とされています。これらのスパイスや薬味を使ったからい料理を食べると、汗をかくことが多いです。つまり、汗をかくことは、身体の内側から熱が発生し代謝が上がっている証しなのです。たっぷりの香辛料を使用している、キムチやタイカレー、ベトナム料理のフォーなどの料理を食べることで、食事誘導性熱産生を上げる効果が望めます。
また、魚類や柑橘類なども効果があるといわれています。イワシやサンマなどの青魚に含まれているEPAやDHAといった良質な脂肪酸などは、交感神経を刺激しノルアドレナリンの分泌を促進する働きがあるといわれています。分泌されたノルアドレナリンは、脂肪細胞の酸化と分解を促進し、熱産生につながると考えられています。そして、グレープフルーツやレモンなどの柑橘類に含まれているリモネンも、同様に交感神経を刺激し、ノルアドレナリンの分泌を促進し、熱産生につながるといわれています。
そして、身体を温める効果があると考えられている食材を摂取することも食事誘導性熱産生を上げる効果が期待できます。温熱食材とされているのは、ニンジンやタマネギ、ダイコンなどの野菜や、あんずやリンゴ、ナツメなどの果物、小豆やクルミ、ゴマなどの穀類です。羊肉や鶏肉、牛肉などの肉類やウナギや鮭、カツオなどの魚類、ココアや紅茶なども食事誘導性熱産生を上げる働きが期待されています。
さらに、よくかんで食べることも食事誘導性熱産生を上げる効果があるとされています。よくかむことで、あごの筋肉が鍛えられますし、唾液の分泌量を増やすといわれています。唾液の分泌量が増えることは、消化管の働きを促進し、熱量を身体の外へ排出することにつながると考えられています。
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