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AGA治療の推奨度をランキングするとどうなる?

更新日:2017.09.19
公開日:2017.09.19
ドクター画像
この記事の監修者
下北沢ルミアージュクリニック 院長 脇村祐輝

AGA(男性型脱毛症)の治療法には沢山の種類があり、どの治療法の信頼性が高いのかを患者の立場から判断することは容易ではありません。ここでは、日本皮膚科学会がまとめた「男性型脱毛症診療ガイドライン(2010年版)」を参考に、ドクター監修のもとでAGA治療の中で特に信頼性が高いと考えられる治療法を確認しておきましょう。

AGA(男性型脱毛症)は適切な治療によって進行を抑え、発毛を促すことができます。しかし、AGA治療には非常に沢山の種類があり、その中には多くの医師が信頼を置く治療法もあれば、科学的根拠に乏しく、あまり勧められない治療もあります。どの治療法が信頼でき、または信頼できないのかについて、患者の立場から判断することは容易ではありません。

そうしたとき、ひとつの参考として活用できるのが日本皮膚科学会の「男性型脱毛症診療ガイドライン(2010年版)」です。そこにはAGAに対して行われている治療法について、エビデンスレベルと推奨度が示されています。ここでは、推奨度に注目してAGA治療のランキングを作ってみましょう。

AGA治療を推奨度の高い順にランキング

「男性型脱毛症診療ガイドライン」では、AGA治療に対する推奨度を次のように分類しています。
・推奨度A:行うよう強く勧められる
・推奨度B:行うよう勧められる
・推奨度C1:行うことを考慮してもよいが、十分な根拠がない
・推奨度C2:根拠がないので勧められない
・推奨度D:行わないよう勧められる

この分類に基づいてAGA治療を推奨度の高い順に並べると次のようになります。

推奨度A

男性の男性型脱毛症に対する「ミノキシジル」の外用
女性の男性型脱毛症に対する「ミノキシジル」の外用
男性の男性型脱毛症に対する「フィナステリド」の内服

推奨度B

男性型脱毛症に対する「自毛植毛術」

推奨度C1

男性型脱毛症に対する「塩化カルプロニウム」の外用
男性型脱毛症に対する「t-フラバノン」の外用
男性型脱毛症に対する「アデノシン」の外用
男性型脱毛症に対する「サイトプリン・ペンタデカン」の外用
男性型脱毛症に対する「ケトコナゾール」の外用

推奨度C2

男性型脱毛症に対する「セファランチン」の外用

推奨度D

女性の男性型脱毛症に対する「フィナステリド」の内服
男性型脱毛症に対する「人工毛植毛術」

推奨度の高いAGA治療をチェック!

上で作成した推奨度のランキングの中から、推奨度の高い治療をチェックしておきましょう。

推奨度Aは「行うよう強く勧められる」、推奨度Bは「行うよう勧められる」という評価になっており、これに該当する下記の治療法は信頼性が高いといえるでしょう。

ミノキシジルの外用(推奨度A)

ミノキシジル外用液は頭皮に塗るタイプの薬で、1年以上の長期投与で有意に発毛を促進し、重篤な副作用の報告もないとされています。また、男性においては、1%や2%のミノキシジル外用液よりも、5%のミノキシジル外用液の方が発毛効果が高いとされています。ミノキシジル外用液は治療の第一選択として勧められています。

フィナステリドの内服(推奨度A)

フィナステリドは、テストステロンをジヒドロテストステロンに変換することで薄毛を進行させるⅡ型5α-リダクターゼという酵素を阻害する働きを持っています。フィナステリドの内服によって、毛髪数・毛髪重量の増加、脱毛状態の改善が期待できます。ただし、副作用として男性の性機能障害や稀に肝機能障害の報告があります。なお、20歳未満に対する安全性は確認されておらず、女性に対する適応は認められていません。特に妊娠中の女性への投与は禁忌とされています。

自毛植毛術(推奨度B)

自毛植毛術は十分な経験と技術を有する医師が行う場合に限って勧められています。対象となるのは、ミノキシジルの外用やフィナステリドの内服の効果を期待できず、他の治療の手段がない男女です。自毛植毛術とは、後頭部などから自分自身の毛髪を採取してこれを植毛する治療法です。自分自身の毛髪を用いるため免疫反応が生じることもなく、自分の髪として生え続けます。ただし、植毛された毛髪は1度抜け落ちるので、生えそろうまでには8~10か月程度を要します。

このように、ここでは日本皮膚科学会がまとめた「男性型脱毛症診療ガイドライン」を参考に、信頼性が高いと考えられる治療法を確認しました。ただし、同ガイドラインは次の点を強調してもいます。

・このガイドラインの内容に合致することを求めるわけではない
・医師の裁量を規制し治療方針を限定するものではない
・医事紛争や医療訴訟の資料として用いるものではない

例えば、担当医の提案する治療法がガイドラインでふれられていなかったり、高く評価されていない場合でも、十分に説明を受けて納得できるものであれば、その治療を検討してみる価値はあるでしょう。ガイドラインの内容を絶対視するというより、AGA治療の選択で迷ったときの、ひとつの参考として活用するとよいでしょう。

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